【日記】2022年12月5日noteにて投稿
「私が、セレーネさんの書店を守ります。倒産なんてさせませんから!」
なんて啖呵を切ったのには訳があります。幼い頃から慕っていた人、セレーネさんの書店の存続危機だったから……そしてその日を思い出しては、机の上で頭を抱えています。
言った手前、何とかしなくちゃならないけど……うぅ、どうすれば良いの。それに今日も新店長とケンカしちゃった。そう日記に万年筆を走らせながら、窓枠の花瓶を見ると、飾られたガーベラの花が月明かりに照らされて眩しく感じる。
セレーネさんが亡くなって3ヶ月。あの日は寂しさも抱えて、いつも通り大学帰りにバイト先へ向かっていたけど……私は店の前で足を止めた。
──否、止めざる終えなかったの。
見知らぬ軽トラックに見知らぬおじさんが店の本を積んでいたから。それを反射で話しかけ、直ぐさま店とトラックの間に仁王立ちし、扉前に紐で縛られた本たちを遮った。
「ちょっ、何してるんですか! やめて」
「うん? 要らないから焼却するんだとよ。俺はここの店長に言われて……」
「店長!? 一体誰が……」
こんな感じに言い合って、亡くなったとはいえ店長はセレーネさんだけのはず……と考えてたその時。
「俺だ。──あんたか、不要なバイトは」
って言って扉から出て来たのは不機嫌を隠しもしない男だった。うーん、今思い出しただけでもムカつきます!
「……どちら様ですか?」
「俺はこの店の店長で、セレーネの孫だ」
あろうことにセレーネさんの孫を名乗る、これが新店長だったんですよ。
「ここは書店じゃなくカフェにする、だから本は要らないし捨てる」
「そんな……」
「ばあちゃんが本を集めていようと書いていようが関係ない。今の時代、紙媒体は売れない」
ショックだった。セレーネさんと髪色と瞳の色が同じ白銀なのに、突き放す言い方をされて思わず後ずさったのを覚えてる。
「これ、寅太郎(こうたろう)。まだ店の権限はワシだぞ。それに、ひよりちゃんは大切な従業員だ」とセレーネさんの夫、十四郎さんが店の中から現れてことなきを得た。
あの後は「知識を買うだけじゃないです! 書店は、希望の灯りなんです」と確か伝えて……赤字じゃ、やっていけないと言われて更にショックで。知らなかった、そんなこと。学校で学んだことを活かそうにも、私にはどうしていいのか分からなかった。他の人はどうしてるんだろう……
お店が無くなるなんて嫌。そう思っていたら勢いで啖呵を切っていた。孫にとって他人の私、八木ひよりが勝手に店を赤字から救うって言っちゃった。けど不思議と後悔はしてないの。一生懸命考えることにする、セレーネさんのお店を守るために。がんばります!
──つづく。
【今日の一言】
学校もお仕事もみんな頑張ってるんだな~と日々思います。お疲れさまです!
眠れないときは……ラベンダーの香りを枕や部屋に吹くと良いみたい、眠気を誘う効果です。それじゃ、また明日。学校の勉強もがんばるぞ!
【あとがき】
皆様はじめまして。魔法の書店が本当にあるかのように世界観を作っているクリエイターのLです。少し説明が要るかなと思ったので書き記しますね。
ひより日記の世界はどこか現実と似ていますが、フィクションです。
【魔法の書店】では、元店長で小説担当の【真塩セレーネ】と店員で広報担当の【八木ひより】という物語キャラクターがいます。こちらの日記は【八木ひより】の日常を垣間見える作品です。
noteというサイトにて週に1度を目安に投稿している作品で、カクヨムというサイトとこちらのWEBサイトでも公開することになりました。複雑な部分がありますが軽く楽しんで頂ければと思います。この度は貴重なお時間をさき手にとって頂きありがとうございました。
お知らせ
投稿サイト【note】で一番人気の作品はこちら↓
完結済み約3分で読める詩、小説。
投稿サイト【カクヨム】で一番人気の作品はこちら↓
完結済み約5分で読めるSF小説。
Thank you for reading. Have a good day!