邦画1950年から2020年代まで10年ごと年表。
全作品をまとめる映画史視点ではなく、邦画(国内)映画のヒットで時代性を読み解こうとしています。単なる趣味です。
時代を遡ってみることで近年や未来について考え、創作に活かせるのではと思い勉強も兼ねて記事を書いています。
※人物の敬称は省く。興行収入でピックアップしていますが、再上映を含まない値で判断しています。
1950年代 戦後
- 豆知識 当時のチケット代金は約65円。
- 源氏物語は日本最古の長編小説と言われています。
- 食料配給公団が解散、電信電話器が登場。電力不足による停電が週に2~3回。
- 給料はサラリーマン約1万円。
1951年11月2日公開 作品名【源氏物語】
(原作/紫式部、監督/吉村公三郎、製作/永田雅一、配給/大映)
1953年9月15日公開 作品名【君の名は】
(原作/菊田一夫、監督/大庭秀雄、製作/山口松三郎、配給/松竹)
1957年1月3日公開 作品名【任侠清水港】
(原作なし、監督/松田定次、製作/大川博、配給/東映)
1957年4月29日公開 作品名【明治天皇と日露大戦争】
(原作/渡辺邦男、監督/渡辺邦男、製作/大蔵貢、配給/新東宝)
1958年4月1日公開 作品名【忠臣蔵】
(原作なし、監督/渡辺邦男、製作/永田雅一、配給/大映)
1960年代 高度経済成長期
- 豆知識 当時のチケット代金は約260円でした。
- 東京オリンピックの映画は稀にみる特大ヒット
- 高度経済成長期、カラーテレビが出ました。
- 東京オリンピック開催。
- サラリーマンの給料は3万円。
1963年3月1日公開 作品名【天国と地獄】
(原作エド・マクベイン、監督/黒澤明、製作/田中友幸、菊島隆三、配給/東宝)
1965年3月20日公開 作品名【東京オリンピック】
(原作なし、監督/市川崑、製作/オリンピック東京大会組織委員会、配給/東宝)
1968年2月17日公開 作品名【黒部の太陽】
(原作/木本正次、監督/熊井啓、製作/不明、東宝?、配給/東宝)
1969年3月1日公開 作品名【風林火山】
(原作/井上靖、監督/稲垣浩、製作/田中友幸、稲垣浩、配給/東宝)
1970年代 安定経済成長期
- 豆知識 当時チケット代金は約900円。価格が現代に近づいてきましたね。
- 男はつらいよ寅次郎シリーズは大人気。
- オイルショックがありましたが、女性の社会進出もあり全体的に景気が良くなる。
- 日本沈没は稀にみる特大ヒット
- サラリーマンの給料は約10万円。
1971年12月29日公開 作品名【男はつらいよ 寅次郎恋歌】
(原作/山田洋次、監督/山田洋次、製作/島津清、配給/松竹)
1973年12月29日公開 作品名【日本沈没】
(原作/山田洋次、監督/山田洋次、製作/島津清、配給/松竹)
1974年12月28日公開 作品名【男はつらいよ 寅次郎子守唄】
(原作/山田洋次、監督/山田洋次、製作/島津清、配給/松竹)
1977年6月4日公開 作品名【八甲田山】
(原作/新田次郎、監督/森谷司郎、製作/橋本忍、野村芳太郎、田中友幸、配給/東宝)
1980年代 バブル期
- 豆知識 当時チケット代金は約1100円
- 南極物語が大ヒット
- 子猫物語が大ヒット
- ファミコンブーム。映画では種類も特撮やアニメなど増えました。
- 給料も現代とほぼ変わらなくなり、バブルの時代。
1980年4月26日公開 作品名【影武者】
(原作/五味川純平、監督/黒澤明、製作/黒澤明、田中友幸、配給/東宝)
1983年7月23日公開 作品名【南極物語】
(原作/なし、監督/蔵原惟繕、製作/古岡滉、鹿内春雄、蔵原惟繕、配給/日本ヘラルド映画、東宝)
1983年12月10日公開 作品名【里見八犬伝】
(原作/鎌田敏夫、監督/深作欣二、製作/角川春樹、配給/東映)
1986年7月12日公開 作品名【子猫物語】
(原作/なし、監督/畑正憲、製作/鹿内春雄、日枝久、角谷優、配給/東宝)
1988年6月25日公開 作品名【敦煌】
(原作/井上靖、監督/大映、電通、佐藤純彌、製作/徳間康快、春名和雄、武田敦、入江雄三、配給/東宝)
1990年代 バブル崩壊期
- 豆知識 当時のチケット代金は約1200円 ほぼ現代と同じ。
- もののけ姫が稀にみる特大ヒット 映画監督ではなくアニメ映画監督が作った作品が映画史で1位になる革命が起きる。
- アニメ映画が増える。特にアニメの中ではジブリ、ポケモンが大ヒット。
- 映画を見る人口も全盛期。
- バブル崩壊、インターネット普及web1.0
1990年6月23日公開 作品名【天と地と】
(原作/海音寺潮五郎、監督/角川春樹、製作/角川春樹、大橋渡、配給/東映)
1992年7月18日公開 作品名【紅の豚】
(原作/宮崎駿、監督/宮崎駿、製作/徳間康快、利光松男、佐々木芳雄、配給/東宝)
1997年7月12日公開 作品名【もののけ姫】
(原作/宮崎駿、監督/宮崎駿、製作/徳間康快、氏家齊一郎、成田豊、配給/東宝)
1998年10月31日公開 作品名【踊る大捜査線THE MOVIE】
(原作/なし、監督/本広克行、製作/中村敏夫、村上光一、配給/東宝)
2000年代 IT革命
- 豆知識 当時のチケット代金は約1200円 ほぼ現代と同じ。
- 千と千尋の神隠し、稀にみる特大ヒット アニメ映画はジブリ1強時代へ突入。シネコンの到来で恩恵を得る。
- 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!が大ヒット
- ハウルの動く城、崖の上のポニョも大ヒット
- 日本におけるIT革命期、任天堂DS、iPhone発売。テレビ会社など強かった時代。
- 2001年シネマコンプレックスが普及し、映画館の複数スクリーンで上映開始。
2001年7月20日公開 作品名【千と千尋の神隠し】
(原作/宮崎駿、監督/宮崎駿、製作/ジブリ・日本テレビ・電通・徳間書店・ブエナビスタジャパン・東北新社・三菱商事の7社共同製作、配給/東宝)
2002年7月20日公開 作品名【猫の恩返し】
(原作/柊あおい、監督/森田宏幸、製作/徳間書店、日本テレビ、ディズニー、三菱商事、博報堂、東宝7社による製作、配給/東宝)
2003年7月19日公開 作品名【踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!】
(原作/藤子・F・不二雄、監督/本広克行、製作/亀山千広、フジテレビジョン、アイ・エヌ・ピー、配給/東宝)
2004年11月20日公開 作品名【ハウルの動く城】
(原作/ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、監督/宮崎駿、製作/製作委員会、配給/東宝)
2008年7月19日公開 作品名【崖の上のポニョ】
(原作/宮崎駿、監督/宮崎駿、製作/日本テレビ、電通、ディズニー、博報堂DYMP、ディーライツ、東宝の6社による製作。配給/東宝)
2010年代 デジタル進化
- 豆知識 当時のチケット代金は約1300円。
- 風立ちぬが大ヒット
- 君の名は。が稀にみる特大ヒット ジブリ1強ではない新たな可能性が示される。海外受け1位になった期待の新しい監督作品。
- 天気の子が大ヒット
- 3D.4Dの上映開始、映画を見る人口は減少。
- web2.0、デジタルが更に進化、アプリLINE登場。
2010年7月17日公開 作品名【借りぐらしのアリエッティ】
(原作/メアリー・ノートン、監督/米林宏昌、製作/日本テレビ、電通、ディズニー、博報堂DYMP、ディーライツ、東宝、ワイルドパンチ、の7社による製作。配給/東宝)
2013年7月20日公開 作品名【風立ちぬ】
(原作/宮崎駿、監督/宮崎駿、製作/日本テレビ、電通、ディズニー、博報堂DYMP、ディーライツ、東宝、KDDIの7社による製作、配給/東宝)
2016年8月26日公開 作品名【君の名は。】
(原作/新海誠、監督/新海誠、製作/製作委員会、配給/東宝)
2018年7月27日公開 作品名【コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命】
(原作/なし、監督/西浦正記、製作/製作委員会、配給/東宝)
2019年7月19日公開 作品名【天気の子】
(原作/新海誠、監督/新海誠、製作/製作委員会、配給/東宝)
2020年代から現代
- 豆知識 チケット代金は約1500円から現在値上がり中1900円台に突入。
- 鬼滅の刃 無限列車編が稀にみる特大ヒット。アニメ映画監督が1強だった映画史に監督作品ではない漫画作品が1位を取り革命が起きる。
- 続々と漫画作品が大ヒット。
- 新型コロナウイルスの流行、座席数減など対策に追われる。
- 2020年より漫画業界から興行収入100億超え連発による新風が吹く。漫画バブルの到来。
- 2022年以降、世界情勢により物流に打撃、チケット代も値上がり中。映画に活気が若干戻ってくる。
2020年10月16日公開 作品名【劇場版 鬼滅の刃 無限列車編】
(原作/吾峠呼世晴、監督/外崎春雄、製作/ANIPLEX、集英社、ufotableによる3社共同製作、配給/東宝、ANIPLEX)
2021年12月24日公開 作品名【劇場版 呪術廻戦 0】
(原作/芥見下々、監督/朴性厚、製作/東宝、集英社、MAPPA、サムザップ、毎日放送による5社共同製作、配給/東宝)
2022年7月11日、8月6日公開 作品名【ONE PIECE FILM RED】
(原作/尾田栄一郎、監督/谷口悟朗、製作/ワンピース製作委員会、配給/東映)
2022年11月11日公開 作品名【すずめの戸締まり】
(原作/新海誠、監督/新海誠、製作/すずめの戸締まり製作委員会、配給/東宝)
2022年12月3日公開 作品名【THE FIRST SLAM DUNK】
(原作/井上雄彦、監督/井上雄彦、製作/2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners、配給/東映)
2023年〜は現在公開中なこともあり準備中です。
まとめ
- 1950年代 戦後、食糧配給がようやく終わり民営が増える時代。
- 1960年代 東京オリンピック開催、高度経済成長期。
- 1970年代 オイルショックがあったものの、景気良く物価が現代へ近づく。
- 1980年代 バブル期、物価は現代と変わらず、映画は特撮やアニメなどの種類が増える。
- 1990年代 バブル崩壊、インターネット普及。映画を見る人口は全盛期。アニメ作品が増える。
- 2000年代 映画館で複数上映できるシネマコンプレックスが普及。iPhone発売。
- 2010年代 映画を見る人口が減少。デジタルが進化web2.0。3Dや4Dの上映開始。
- 2020年代 新型コロナウイルス流行、世界情勢の悪化。漫画バブル到来。
- 近い未来予想 2023年にデジタル進化web3.0、ブロックチェーン技術を土台とした従来のプラットフォーム無しの分散管理社会へ。より個人が尊重される時代となるのではないでしょうか。
いかがだったでしょうか? 作品名と当時の時代に想い馳せたとき、作品は時代を現す鏡かもしれないなと私は思います。
戦後の苦しい1950年代から高度経済成長の年代、2000年代のIT革命は、ヒットする映画作品にも影響を与えたことでしょう。
近い将来、映画でVtuberやAIの活躍が見られるかもしれませんね。それを見越して作品作りされても面白いと思います。
もちろん時代を予想するのは容易ではありません。時代に関係なく好きな作品を作っていたら、いつの間にかヒットしていた……なんてことがあるかもしれません。運も実力です。
色々書きましたが、少しでも皆様の創作のお役に立てれば幸いです。沢山の創作が生まれ、光があたることを願っています。
・豆知識 ちなみに日本に映画が上陸したのは明治時代。大正時代には初めて日本の映画会社、【日活】や【松竹】が出来ました。
・2000年代メモ、【千と千尋の神隠し】は上映前宣伝から好評であり、人気のため他の作品を上映する予定だったスクリーンを千と千尋へ回すことになった過去を持つ。
現代でいう【鬼滅の刃無限列車編】でしょうか。人気作品はすごいですね。
・2020年以降メモ、漫画バブルで新作アニメ映画は100億が目標になってきている印象。
最後に
※以上、まとめと個人的な意見でした。すべて素敵な作品で、まとめるのも楽しかったです。配給や制作会社や協力会社と、沢山の人の手で出来ているのだと感慨深いですよね。
大ヒット作品のピックアップなので皆さんの好きな作品は無いかもしれません。それはご容赦くださいませ。
さて、これで映画は原作小説、テレビドラマ、監督、漫画と多様になりました。次に何が起こるか楽しみですね!
Thank you for watching.